top of page

#17 Watch out for カタカナ語

10月24日
読了時間: 8分

♣ Newsletter #17 Watch out for カタカナ語

♣ Newsletter #17 Watch out for カタカナ語


「フリーマーケット=free market」だと誤解している人は結構多いのではないでしょうか。「フリーマーケット」の由来は、フランスの骨董市marché aux pauce (ノミのこと)で、これを英語ではflea marketと直訳し、日本語で「蚤の市 →フリーマーケット」となったわけです。ですからflea marketが正しい英語(free marketは経済学における「自由市場」を意味します)。カタカナ語を適当に英語に変換すると「通じない」シチュエーションが起きてしまいます。今回は、英語ライティングで注意すべきカタカナ語を取り上げます。


カタカナ語と英語は別物です。しかし翻訳者でも油断するとカタカナに影響されてしまうことがあり、先日も「ベビーベッド」をbaby bedとした訳文を複数見かけました。赤ちゃん用の柵付きベッドは、米語ではcrib, 英語ではcotと呼びます(「揺りかご」はcradle)。カタカナ語を見たら、まずは和製英語を疑いましょう。たとえカタカナ語と音が似た英単語が存在するとしても「意味は同じか」を確かめ、さらにベビーベッドの例のように「米語とイギリス英語の違いはないか」も確認すると良いです。下記に誤用をいくつか紹介します。

 

  • ベビーカー       (☹ baby car)   stroller (米語)、pushchairやpram (イギリス英語)
  • ガソリンスタンド (☹ gasoline stand)  gas station (米語), petrol station (イギリス英語)
  • シャープペンシル (☹ sharp pencil)  mechanical pencil
  • ノートパソコン  (☹ note PC)        laptop
  • パワーハラスメント (☹  power harassment)  workplace bullying, abuse of powerなど
  • キャッチコピー  (☹ catch copy)    slogan, tagline

上記で示したようにcatch copyという単語は存在しません。では「キャッチフレーズ」はどうでしょう?catchphraseは立派な英単語です。では、どんな文脈でもキャッチフレーズの訳語として使えるでしょうか。答えは「ノー」。catchphraseはカタカナ語とは「意味が違う」例で、日本語の文脈に機械的に当てはめられません。たとえば「キャンペーンのキャッチフレーズを考える」の訳は、come up with a sloganが適切でcatchphraseは使えません。なぜ?ロングマン英英辞書の定義を見てみましょう。

catchphrase: a short well-known phrase made popular by an entertainer or politician, so that people think of that person when they hear it
 
映画 Terminatorでの主人公の決め台詞 “Hasta la vista, baby” は俳優 Schwarzeneggerのcatchphraseと言えるでしょう。現米大統領の“Make America Great Again (MAGA)”も同様です。カタカナ語の「キャッチフレーズ」は多くの場合 slogan が適訳です。
 
動詞でも和製英語がたくさんあります。
  • リストアップする    (☹ list up)      list, make a list of, shortlist
  • バージョンアップする (☹ version up)  upgrade, update
 
では「エスカレートする」はどうでしょう。動詞escalateは存在しますが、文脈により「エスカレート=escalate」という一対一の対応ができないケースもあります。たとえば、「議論がエスカレート(白熱)した」の場合、“The discussion escalated”より“The discussion heated up”が適切です。escalateは主に紛争や暴力の激化を描写する動詞なので、この例でescalate を使うと議論で意見の対立が激しくなったように響きます。

機械的な変換で意味が変わってしまう例をもう一つ。「(映画館の)座席をキープする」を直訳し”keep a seat”とすると、まるで椅子を取り外して家に持って帰るように読めます。”save/hold a seat” が適切です。
 
他にも要注意のカタカナ語はたくさんあります。英語を書くときは Watch out for カタカナ語!
 
考えてみよう:

「古い子供服をほどいて可愛いポシェットにリサイクルした」

英語にするとき「リサイクル」に使える動詞は?いくつか考えられます。
🍀運営者:ぜひご自身のコメントを投稿してくださいね!コメント欄は、画面を底までスクロールすると出てきます。どなた様でも「お名前(ニックネーム可)とメールアドレス(非公開)を入れるだけでコメントできます。過去にセミナー受講した方は右上からログインした後にお書きください。

♣ イベント「翻訳について語ろう(懇親会付)」12/5 (土)

​〜遠田先生による、AI訳の評価・修正テクニック (New!)~


残り数席となりました。ミニセミナー&懇親会&情報交換の場です。ミニセミナーのテーマは、「AI訳の評価・修正テクニック」となりました。旬なテーマをこの機会にぜひ学んでいただければ幸いです。


  • 「とりあえずみんなと楽しくおしゃべりしたい!」
  • 「同じ興味を持ついろんな人と知り合って、ネットワークを広げたい!」
  • 「AIのことも含めて、翻訳の深さや悩みについてじっくり語りたい!」

……という方、大歓迎!リラックスした雰囲気で気軽に受講&交流を楽しんでいただければと思っています。ミニセミナーでは、AIによる訳文を取り上げ、人間がいかにそれを評価し修正できるかを考えます。

希望者には自由テーマで5分プレゼンをしてもらおうかとも考えています。

当日は会場内に「共有スペース」もご用意します。「これ面白いよ!」「みんなに見せたい」というお勧めの本や資料などがあれば、ご自由にお持ち寄りください。

先着12名様限定の少人数イベントです。早めにお申し込みください。

【イベント詳細】
  • 日時: 2026年12月5日(土)14:30 〜 17:30
  • 会場: OtonovaCoco
  • 住所: 東京都新宿区信濃町34-1 トーシン信濃町駅前ビル 地下1階(味 プロムナード内)
  • 参加費: 4,000円(サンドイッチなどの軽食・ドリンク代込み)
  • 定員: 先着12名
  • 持ち物: シェアしたい本や資料(任意)

※少人数制のため、定員に達し次第受付終了となります。ぜひお早めにどうぞ!
キャンセル:如何なる理由でも受け付けておりません。

♣ 遠田先生の他のセミナー (当英語LAB以外)


以下、遠田先生から皆さんへ、当LAB以外のセミナーのご紹介です。
2026年後半に予定されているセミナー・講座の案内です。

<日本テクニカルイングリッシュ協会>
『英語でロジカル・シンキング―英語で話す・書く・プレゼンするためのコツ』
11⽉28⽇(⼟) 14:00-16:00 一般 ¥10,000 会員 ¥9,000

♣ My Story (松本佳月さん)


<「これだ!」から10年>

2016年のJTF翻訳祭で、遠田和子先生の講演を初めて聴きました。
「これだ!」
まさに雷に打たれたような衝撃でした。

当時の私は、6年間のブランクを経て、翻訳の仕事に本格復帰しようとしていました。以前は技術英訳者として仕事をしていましたが、いざ復帰を目指すと英訳のトライアルにはなかなか合格できず、自分の英訳にすっかり自信をなくしていました。
そんな私の心を捉えたのが、遠田先生の「伝わりやすく、無駄のない英文」を書くためのアプローチでした。先生の著書『究極の英語ライティング』にも感銘を受け、「ぜひこの先生から学びたい」と思いました。そして何より、明るくて聡明、気さくで飾らない先生のお人柄にすっかり惚れ込んでしまいました。

先生の授業の魅力は、一方通行ではないこと。分からないことがあれば一緒に考え、先生ご自身がその場で辞書を引き、用例を確認しながら訳語を決めていく。その思考のプロセスを目の前で見られることも、大きな醍醐味でした。冠詞の講座も何度も受講しました。冠詞は奥が深く、今でも迷うことばかりですが(笑)、迷ったときにどう考えるかを教えていただきました。

先生から学ぶうちに、原文の日本語に引っ張られず、まず「何を伝えたい文章なのか」を考え、余計な言葉を削ぎ落として、読み手に伝わる英文を書くことを意識するようになりました。そして何より、英訳することが楽しくなりました。

あれから10年。技術英訳をしていた私は、今ではIR英訳を主な仕事にしています。扱う分野は変わっても、先生から教わったことは今も私の仕事の土台です。

そして仕事を離れれば、今の私の元気の源は「推し活」です。長年応援しているSUPER BEAVERのライブに足を運び、最近は&TEAMにも夢中。中でも、中国語、日本語、韓国語、英語の4か国語を話す台湾出身のNICHOLASに触発され、私も韓国語の勉強を始めました。60代になって、また新しい言語を一から学ぶことになるとは自分でも想像していませんでしたが、少しずつ「分かる」が増えていくのはやっぱり楽しい。結局私は、言葉を学ぶことが好きなのだと思います。

振り返れば、2016年の翻訳祭で遠田先生に出会ったことは、私の翻訳者人生の大きな転機でした。

先生に出会っていなかったら、今の私はいないと思っています。

遠田先生、出会ってくださって本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします!

♣運営者より


🍀 日本テクニカルイングリッシュ協会(TEAJ)のセミナーに参加しました

先日、TEAJ主催の🔗遠田先生のオンラインセミナーに参加しました。事前に課題文が配られ、久しぶりに専門外の文章を自力で訳してから臨みました。セミナーでは、入れ子構造は二文に分ける、最初の数語にできるだけ多くの情報を盛り込むといった、以前から知ってはいたものの最近は意識が薄れていたテクニックを、改めて復習する良い機会になりました。

受講しながら強く感じたのは、これらのテクニックとAI訳文のeditとの相性の良さです。AI翻訳は原文の意味をすべて盛り込もうとするため、どうしてもwordyになりがちです。そのような訳文を読み手にとって分かりやすい英語に磨き上げるうえで、遠田先生のテクニックが大いに役立ち、AI時代の翻訳者にこそ必要な力だと感じました。

12月5日に開催するミニセミナー付き懇親会では、こうしたテクニックの一端をご紹介いただける予定です。ぜひご参加ください。

🌸もし今回の内容が役に立ったと感じたら、ぜひ♡をクリックしたり、コメントを書いていただけたりすると嬉しいです。それからSNSでシェアしていただけると、大きな励みになります。まだニュースレターに登録されていないお知り合いの方がいれば、TOPページのフッターにある「ニュースレター登録」を勧めてみてくださいね。

それでは、また次回の配信でお会いしましょう!

1件のコメント


うわ、パワーハラスメント(パワハラ)≠「power harassment」なんですね! KODには図のように載っていますが(KODの内容といえども適切でないことがあるのでは、と何となく感じてきましたが、やはり)...

ちなみに、Copilotに尋ねたら、但し書きとしてこうも返されました。 -------- 日本の制度や法律、社会問題について説明する際には、

Power harassment ("pawahara"), a Japanese term referring to workplace bullying or abuse of authority.

のように、"power harassment" を日本語由来の用語として紹介することはよくあります。

つまり、

✅ 日本の「パワハラ」という概念を説明する → power harassment でも可 ✅ 自然な英語で「パワハラ」を表現する → workplace bullying や abuse of authority が一般的

いいね!
bottom of page