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#15 スノッブな句読点 semicolon  

8月31日
読了時間: 10分

更新日:9月1日

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Newsletter #15 スノッブな句読点 semicolon

 
1970年代後半、ニューヨークで市民を震撼させる連続殺人が起こりました。the Son of Samと名乗るシリアルキラー(本名David Berkowitz)が若い女性やカップルを次々と銃撃し、捕まるまでの数か月にわたりNY市警の警部と新聞記者に挑戦の手紙を送りつけました。文学的な響きの一文で始まる一通を受け取った記者は、殺人者について次のようにコメントしました。
 
Berkowitz was "the only killer I ever knew who knew how to use a semicolon".
 
さて、このwho knew how to use a semicolonが何を意味しているかわかりますか?
 
「semicolonの正しい用法を知っている」この描写は、きちんとした文法知識を持つ教養のある人を暗喩します。英語圏でsemicolonは「インテリの句読点」と見なされ、フォーマルまたはアカデミックなライティングで使われます。多用するとスノッブな印象を与えることさえあり、英語の句読点のなかでは最も使い方が難しいので、注意が必要です。



私は講師の仕事でいろんな方の英文を読みますが、semicolonの誤用をしばしば見かけます。たとえ文法的にOKでも、英文全体の洗練度が低いとsemicolonが悪目立ちすることも。そんなとき「難しいから使わない方がいいのに」と思います。というわけで今回はsemicolonを取り上げます。正しい用法を知っているのはとても大事。でも、わざわざ使う必要はありません。
 
まずsemicolon (;)とよく似たcolon (:) との違いを押さえましょう。

*semicolon---二つの関係が深い完全な文をつなぐ。
 I’ll have big tests tomorrow; I can’t go out tonight.
*colon---続けるのは文・単語・フレーズのどれでもよい。
 I’ll have big tests tomorrow: math, history, and biology.
 
以下は、逆説の第2文目をセミコロンでつなげた例です。
It was raining hard; however, we still went for a walk.
(howeverの前にカンマを置くと間違い)
 
ただしsemicolonとhoweverを使わなくても、同じ内容を伝える文が書けます。
It was raining hard, but we still went for a walk. 
(接続詞の場合はカンマで繋げる)
Although it was raining hard, we still went for a walk.
実は、こちらのほうがずっと自然です。
 
冒頭でsemicolonは「インテリの句読点」だと紹介しましたが、これは特にアメリカ英語で言えると思います。下記にMary Norris の著作Between You & Me—Confessions of a Comma Queen(邦訳:『カンマの女王「ニューヨーカー」校正係のここだけの話』)からsemicolonに関する一節を引用します。


There is no mark of punctuation so upper-crust as the semicolon. A writer friend who was born in England summed up her feelings for the semicolon in a remark worthy of Henry James: There is no pleasure so acute as that of a well-placed semicolon.” I guess the opposite of that is that there is no displeasure so obtuse as that of an ill-placed semicolon.
In my observation, the semicolon is used best by the British.
Americans can do without the semicolon.
 
「セミコロンほど高尚な句読点はない」「拙い使い方をしたsemicolonは不快」に加えて「アメリカ人はセミコロンを必要としない」とまで書いてあります。他のpunctuation marksにはない、セミコロンに独特のイメージがわかっていただけたでしょうか。
 
考えてみよう
semicolonを使う条件は「2文に密接な関係がある」ことで、これはcolonにも当てはまります。では、次の例ではsemicolon (No. 1)とcolon (No. 2) のどちらがより適切でしょうか?
 
1.    The reason for the failure is quite simple; nobody read the instructions.
2.    The reason for the failure is quite simple: nobody read the instructions.
 
使い分けはとても微妙で難しいです。コメントをお待ちしています!
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♣ 遠田先生の他のセミナー (当英語LAB以外)


以下、遠田先生から皆さんへ、当LAB以外のセミナーのご紹介です。

2026年後半に予定されているセミナー・講座の案内です。皆さんもお気づきと思いますが、今年の私のテーマはパワーポイントなので、関連セミナーや講座が多いです。よろしくお願いします!

<サン・フレア アカデミー>
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9月24日(木)19:00~21:30
10月8日(木)19:00~21:30
10月22日(木)19:00~21:30
11月5日(木) 19:00~21:30

<日本テクニカルイングリッシュ協会>

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10⽉10⽇(⼟) 14:00-16:00 一般 ¥10,000 会員 ¥9,000

2.『英語でロジカル・シンキング―英語で話す・書く・プレゼンするためのコツ』
11⽉28⽇(⼟) 14:00-16:00 一般 ¥10,000 会員 ¥9,000

♣ My Story(Echchさん)


私が英語を真剣に学び始めたのは、当時の世間で言う「クリスマスケーキ」の年齢になってからでした。

終身雇用が当然だった時代、大学卒業後に転々としていた仕事でAppleのMacintoshに出会い、そのスキルで得た広告会社の仕事を通じて英語の必要性を痛感しました。思い立って語学留学したものの、帰国後もまともな職につけず日本社会に息苦しさを感じていた私は、サンフランシスコ ベイエリアの大学のExtensionでマーケティングを学びに再度渡米しました。在学中、Diplomaを取得すれば1年間就労可能なOptional Practical Training (OPT)ビザが得られ、その間にスポンサーが見つかれば永住権への道も開けることを知りました。なんとかOPT中にシリコンバレーのソフトウェア会社のスポンサーを得たものの、.COM景気で発行枠が早々に上限に達し、日本での半年待機を経てようやく就労にこぎつけました。そこでシリコンバレーの底辺のエンジニアの誕生です。2001年の同時多発テロによるビザ発行停止の煽りも受けながら、なんとか永住権を取得しました。「女は結婚すればいいんだから得」などと言われながらも、自分の能力だけで海外の職とビザスポンサーを得て永住権まで取ったことは私の自慢です。

こう書いてみると、若き日の自分の行き当たりばったりぶりに我ながら呆然とします。その後リーマンショックの煽りもあり、18年間のアメリカ生活に終止符を打ち2014年に帰国しました。帰国前には翻訳会社の通信講座を修了し在宅翻訳を始めるかたわら、IT特化のサンフレアの通信講座や、カレッジのプログラミングやEnglish Writingのクラスも受講していました。

帰国後数年は日本社会に戻る勇気が持てず、在宅翻訳を続けながら、海外では叶わなかった翻訳・通訳学校に通い始めました。通信講座でお世話になったサンフレアの当時の事務局長の勧めで遠田先生のデモ授業を受講。先生の経歴に私が滞米中に通ったカレッジの名前を見つけ、授業の合間にお話しすると同じ時期に歩いて行ける距離に住んでいたこともわかり、ご縁を感じて「英訳の基礎I」の受講を決めました。

授業を受けるうちに、在米生活でいっぱしのつもりでいながら単複や冠詞にまったく注意を向けていなかったことに気づくなど、目から鱗の連続でした。こうして私の「遠田先生追っかけ人生」が始まりました。

帰国後しばらくして在宅の仕事をもらっていた翻訳会社からの派遣で日英翻訳者として数か月勤務。その後本腰を入れての就職活動で分かったのは、ITの知識がある翻訳者より、英語もできるITエンジニアの方が稼げるということでした。シリコンバレー経験と英語力を売りに探したところ2週間でオファーを貰ったのが今の職場です。3カ月更新の個人事業主ながらもうすぐ9年になり、アメリカのパートナー会社と英語でまともに渡り合える唯一の存在として奮闘中です。バグレポートの翻訳等もしますが、説明不足や情報不足には容赦なく注文をつけ、元の日本語より技術的にも行き届いた、海外にも通じる英文ドキュメントを作成しているつもりです。おかげで「依頼者が理解してくれない」という悩みはほぼなく幸運だと思う一方、日本語についてはよく注意されています。

コロナ前、たまたま知ったOxford Press刊”Practical English Usage”の著者Michael Swan先生の講演会に遠田先生をお誘いしました。一緒に出席した日にちょうど先生の初孫がお生まれになったりと、英語以外でも楽しい思い出をいただいています。また、他の翻訳学校で「サンフレアの遠田先生の授業はいいよ」と生徒に口コミしてみたり(実際にその生徒さんと遠田先生のクラスで再会しました)、海外在住で日英翻訳者をしていた妹も引き込んだりと、地味に「遠田教」の布教に励んでおります。

AIの興隆で翻訳業界の今後については不透明な部分も多いですが、これからも先生に学びながら、このコミュニティの皆さんと共に学んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。


♣運営者より


🍀 今号#15のテーマ、セミコロンと私の思い

今号のテーマ「句読点(特にセミコロン)」は、実は私からのリクエストです。理由は2つあります。

一つ目は、昔サンフレアで受けた遠田先生の単発講座「句読点講座」がきっかけです。私は英訳をする際、文をうまく繋げず、howeverなどの接続詞に頼りがちなのが悩みでした。でもこの講座でコロンやセミコロンの使い方を知り、一気に選択肢が広がった感覚がありました。特に記事中の"the only killer I ever knew who knew how to use a semicolon"というフレーズは、「セミコロンの後ろはSVのみ、コロンはSVでなくてもOK」と覚えるのに今も役立っています。この話を打合せで先生にしたことが、今回の記事につながりました。

二つ目はAI対策です。指示を出さずにAI翻訳を使うと、セミコロンはほとんど登場しません。文法エラーを避けようとするアルゴリズムのせいで、AIはリスクを避けて、セミコロンを使いたがらないからです。逆に言えば、セミコロンの入った文章は今の時代では希少になってきた「人間らしさ」が伝わり、印象に残りやすいということ。難しさに気後れせず、皆さんと一緒にセミコロンを使いこなせるよう、また機会があれば先生に取り上げていただきたいと思います。


🍀  Claude AI活用セミナー for 翻訳者/英文ライター 参加募集中

上記でご案内した通り、9月26日(土)はClaude AIをテーマにしたセミナーを開催します。この内容、外資系翻訳会社でプロジェクトマネージャーをしていた経験と、翻訳者としての自分自身の経験を掛け合わせて考えたものです。「翻訳」以外の作業に追われて、肝心の翻訳に集中する時間が削られてしまう—そんなもどかしさを感じたことがあるのは、きっと私だけではないはず・・。AIがすべてを解決してくれるわけではありませんが、うまく付き合えば「時間」という一番貴重な資源を取り戻す手助けになります。今回はそのヒントを、実際のデモとともにお届けします。セミナー後には遠田先生も交えた意見交換タイムをご用意していますので、初めての方もお気軽にご参加ください。皆さんとお話しできるのを楽しみにしています。


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それでは、また次回の配信でお会いしましょう!

3件のコメント


まつもと ともこ
9月04日

私もNo.2ではないかと思いました。 理由などを補足説明する際はcolonの方がよい気がしました。 ただ、semicolonの使い方、colonとの違いは正しく理解できていると言えないかもしれません。


私も遠田先生の講座でsemicolonは使い方に注意(あえて使わない方が自然)、と伺っておりました。 ですが、規格の英日翻訳も最近手掛けるようになったのですが、規格の英文はsemicolonだらけ!! 書類の分野にもよるのだな、と思いました。

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永野恭子
永野恭子
9月01日

すみません、投稿時に「🍀運営者より:質問が出ています。ぜひ回答をコメント欄にお書きください。」と上段に書くのを忘れてしまいました!🙏 今追記しました。


Ritzさん、早速の回答をありがとうございます!

他の皆さんもぜひ考えてみてくださいね。どちら(セミコロン or コロン)が適切かという理由だけでなく、「セミコロンのかっこいい使い方」の例などもコメントしていただけると嬉しいです。


私から、上記のシリアルキラーのエピソードと通じるシニカルな例をひとつ選んでみました。カート・ヴォネガットの言葉ですが、どうやら本気というよりブラックジョークのようです。

By Kurt Vonnegut:

"Here is a lesson in creative writing. First rule: Do not use semicolons. . . All they do is show you’ve been to college."


以下のリンクでは、彼が本気でこれを言ったのかも含めて作家たちの「セミコロン愛憎」が解説されています。ぜひ覗いてみてください! https://lithub.com/the-punctuation-marks-loved-and-hated-by-famous-writers/


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Ritz
9月01日

今回もためになるテーマを取り上げていただき、ありがとうございます!

No.2の方が適切ではないかと思います。


感覚的な判断なので、なぜcolonを選んだのか言葉で説明するのは難しいのですが、

後半のnobody read the instructionsは前半のthe reason for the failureを明確にした内容なので、名詞複数形の後にcolonを置き、項目を列挙するような使い方と近いように感じます


semicolonは、前後の内容を対比させたり、2つの文の間の論理的なつながり(逆接を含む)を強調する時に使われることが多いという印象があります。


個人的には、semicolonは便利なので英訳でつい使いすぎてしまい、推敲時に接続詞やエムダッシュなどを使った接続方法に書き換えることが多いです。semicolonは視覚的にも目立つので、重要な箇所だけ使うようにしないと読者にとって目障りですね。

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