#15 スノッブな句読点 semicolon
更新日:9月1日

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1970年代後半、ニューヨークで市民を震撼させる連続殺人が起こりました。the Son of Samと名乗るシリアルキラー(本名David Berkowitz)が若い女性やカップルを次々と銃撃し、捕まるまでの数か月にわたりNY市警の警部と新聞記者に挑戦の手紙を送りつけました。文学的な響きの一文で始まる一通を受け取った記者は、殺人者について次のようにコメントしました。
Berkowitz was "the only killer I ever knew who knew how to use a semicolon".
さて、このwho knew how to use a semicolonが何を意味しているかわかりますか?
「semicolonの正しい用法を知っている」この描写は、きちんとした文法知識を持つ教養のある人を暗喩します。英語圏でsemicolonは「インテリの句読点」と見なされ、フォーマルまたはアカデミックなライティングで使われます。多用するとスノッブな印象を与えることさえあり、英語の句読点のなかでは最も使い方が難しいので、注意が必要です。

私は講師の仕事でいろんな方の英文を読みますが、semicolonの誤用をしばしば見かけます。たとえ文法的にOKでも、英文全体の洗練度が低いとsemicolonが悪目立ちすることも。そんなとき「難しいから使わない方がいいのに」と思います。というわけで今回はsemicolonを取り上げます。正しい用法を知っているのはとても大事。でも、わざわざ使う必要はありません。
まずsemicolon (;)とよく似たcolon (:) との違いを押さえましょう。
*semicolon---二つの関係が深い完全な文をつなぐ。
I’ll have big tests tomorrow; I can’t go out tonight.
*colon---続けるのは文・単語・フレーズのどれでもよい。
I’ll have big tests tomorrow: math, history, and biology.
以下は、逆説の第2文目をセミコロンでつなげた例です。
It was raining hard; however, we still went for a walk.
(howeverの前にカンマを置くと間違い)
ただしsemicolonとhoweverを使わなくても、同じ内容を伝える文が書けます。
It was raining hard, but we still went for a walk.
(接続詞の場合はカンマで繋げる)
Although it was raining hard, we still went for a walk.
実は、こちらのほうがずっと自然です。
冒頭でsemicolonは「インテリの句読点」だと紹介しましたが、これは特にアメリカ英語で言えると思います。下記にMary Norris の著作Between You & Me—Confessions of a Comma Queen(邦訳:『カンマの女王「ニューヨーカー」校正係のここだけの話』)からsemicolonに関する一節を引用します。

There is no mark of punctuation so upper-crust as the semicolon. A writer friend who was born in England summed up her feelings for the semicolon in a remark worthy of Henry James: There is no pleasure so acute as that of a well-placed semicolon.” I guess the opposite of that is that there is no displeasure so obtuse as that of an ill-placed semicolon.
In my observation, the semicolon is used best by the British.
Americans can do without the semicolon.
「セミコロンほど高尚な句読点はない」「拙い使い方をしたsemicolonは不快」に加えて「アメリカ人はセミコロンを必要としない」とまで書いてあります。他のpunctuation marksにはない、セミコロンに独特のイメージがわかっていただけたでしょうか。
考えてみよう
semicolonを使う条件は「2文に密接な関係がある」ことで、これはcolonにも当てはまります。では、次の例ではsemicolon (No. 1)とcolon (No. 2) のどちらがより適切でしょうか?
1. The reason for the failure is quite simple; nobody read the instructions.
2. The reason for the failure is quite simple: nobody read the instructions.
使い分けはとても微妙で難しいです。コメントをお待ちしています!
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私もNo.2ではないかと思いました。 理由などを補足説明する際はcolonの方がよい気がしました。 ただ、semicolonの使い方、colonとの違いは正しく理解できていると言えないかもしれません。
私も遠田先生の講座でsemicolonは使い方に注意(あえて使わない方が自然)、と伺っておりました。 ですが、規格の英日翻訳も最近手掛けるようになったのですが、規格の英文はsemicolonだらけ!! 書類の分野にもよるのだな、と思いました。
すみません、投稿時に「🍀運営者より:質問が出ています。ぜひ回答をコメント欄にお書きください。」と上段に書くのを忘れてしまいました!🙏 今追記しました。
Ritzさん、早速の回答をありがとうございます!
他の皆さんもぜひ考えてみてくださいね。どちら(セミコロン or コロン)が適切かという理由だけでなく、「セミコロンのかっこいい使い方」の例などもコメントしていただけると嬉しいです。
私から、上記のシリアルキラーのエピソードと通じるシニカルな例をひとつ選んでみました。カート・ヴォネガットの言葉ですが、どうやら本気というよりブラックジョークのようです。
By Kurt Vonnegut:
"Here is a lesson in creative writing. First rule: Do not use semicolons. . . All they do is show you’ve been to college."
以下のリンクでは、彼が本気でこれを言ったのかも含めて作家たちの「セミコロン愛憎」が解説されています。ぜひ覗いてみてください! https://lithub.com/the-punctuation-marks-loved-and-hated-by-famous-writers/
今回もためになるテーマを取り上げていただき、ありがとうございます!
No.2の方が適切ではないかと思います。
感覚的な判断なので、なぜcolonを選んだのか言葉で説明するのは難しいのですが、
後半のnobody read the instructionsは前半のthe reason for the failureを明確にした内容なので、名詞複数形の後にcolonを置き、項目を列挙するような使い方と近いように感じます。
semicolonは、前後の内容を対比させたり、2つの文の間の論理的なつながり(逆接を含む)を強調する時に使われることが多いという印象があります。
個人的には、semicolonは便利なので英訳でつい使いすぎてしまい、推敲時に接続詞やエムダッシュなどを使った接続方法に書き換えることが多いです。semicolonは視覚的にも目立つので、重要な箇所だけ使うようにしないと読者にとって目障りですね。