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#13 言葉の言い換え


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目次


言葉の言い換え

英語は言葉の繰り返し(repetition)を嫌うため、英語ライティングでは言い換えにより文章にバリエーションを付けます。今号では3つの言い換え方法―1. 同義語を探す 2. 新情報を足す 3. 上位語を使う―を取り上げます。
 
1.同義語を探す
皆さんは、この方法を既によくご存知でしょう。次の2文を見てください。
We had to solve a difficult problem.
It was so difficult that we couldn’t solve it within the time limit.
 
文法的に正しくても、「解く=solve」と「難しい=difficult」の繰り返しがあると幼稚な感じが否めません。solveはanswer, crack, resolveなどで代替でき、difficultの同義語にはhardやchallengingがあります。
We had to solve a difficult problem. 
It was so hard that we couldn’t answer it within the time limit.
 
文脈やトーンに合わせて適当な類義語で言い換えるだけで、文の洗練度はぐんとアップします。

2.新情報を足す
限られたスペースに内容をぎゅっと詰め込むニュース記事では、情報を足しながら言い換えをします。Yahoo!sportsの例を見てみましょう。大谷翔平の第2子誕生に関する記事は次の文で始まっています。
Shohei Ohtani announces the birth of his child in grand style.

続くパラグラフでは、代名詞he以外にさまざまな表現で大谷に言及しています。
the Japanese professional baseball player
the 31-year-old
the athlete
the MLB star
the father-of-two
ここで定冠詞theはOhtaniを特定し「日本人野球選手」「31歳」「2児の父」等の情報が効率よく追加されています。スタイル重視の文章で頻繁に見かけるテクニックで、私は「大谷は31歳なんだ」と知りました。
 
3.上位語を使う
最後は下位語(hyponym)を上位語(hypernym)で言い換えるテクニックです。言語学の用語が難しそうに聞こえますが、言葉の意味の階層関係を表すと理解してください。下位語とは具体的で意味が狭い言葉で、上位語はより抽象レベルが高い広義な言葉です。


例えばpoodleはa kind of dogですから、意味の階層でpoodleはdogより下位になります。さらに dogは a kind of animalなので、animalがdogの上位になります。具体的で狭義な名詞は、その上位語(プラス同定するthe)で言い換えられます。。
Jun has a poodle named Gon. He takes the small dog for a walk every day.
 
もう一つ。vegetablesはcarrot, potato, cabbage, beansの上位層ですから次のことが言えます。

Carrots are a kind of vegetable, but not all vegetables are carrots.
「人参は野菜」ですが「野菜は人参」ではありません。この関係により、言い換えは下位語 à 上位語が基本で、反対方向はできません。
 
技術文では誤解を避けるために用語を統一し、言い換えはあまり推奨されません。しかし通常の読み物では同じ表現の繰り返しは避けたいもの。下記は『アイヌと神々の物語』からの引用です。和文では同じ単語が頻出しているのに、全く違和感ありません。

少し歩いていくと、どこからか大きなクマが一頭飛び出てきて私を追いかけてきました。とっさのことであったので、弓を構える暇もなく、私は身を翻して逃げました。逃げても逃げても大グマは私を追いかけるのをやめずに、大グマと私の間の距離はずんずんと縮まるばかりです。このままでは食い殺されると思った私は、海の方へ逃げていきました。


これを英訳する時は、気を付けないと和文につられて同じ単語を繰り返してしまいます。「いかにバリエーションをつけるか」が翻訳者の腕の見せ所!

I had been walking for a while when suddenly, a giant bear leapt out of nowhere and rushed in my direction. There was no time to take out my bow and arrow, so I had to escape on foot. I ran and ran for all I was worth, but the big bear quickly gained on me. At this rate, I knew I’d be killed and eaten by ( A  ). I ( B  ) toward the ocean.
 
AとBは空欄にしておきました。皆さんならどんな単語を入れますか?


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♣ AI- Claude Cowork 追加!PowerPoint翻訳セミナー(7月18日)


6/28 追記|募集枠を拡大しました
定員に達しておりましたが、査読をお申し込みにならない方が数名いらっしゃったため、募集枠を若干拡大いたします。課題の提出期限は 7月3日 ですので、ご注意ください。なお、提出は任意です。課題を出さずに受講いただくことも可能です。

New!|Claude Cowork デスクトップ版のミニ講座を追加
交流会の前半15分を使って、Claude Cowork デスクトップ版のミニ講座を行います。講師は運営者の永野です。このツールが英文ライティングをどのように効率化できるかをご紹介します。Web ブラウザー版では実現できない、強力な機能の数々をぜひご覧ください。後半15分は、AI に関する意見交換などの場とする予定です。

<セミナーの概要>
本セミナーは、2026年3月21日にNAKANO HAKOで開催した「PowerPoint翻訳セミナー」のオンライン版です。今回は「スピーチ原稿とスライドの関係性」を新たに追加します。

教材は前回と同じものを使用。事前課題があり、提出は任意です。期日までに課題を提出された方には、添削して返却いたします。前回参加された方は受講費が半額となりますが、添削は含まれません。添削をご希望の場合は、定価の5,000円となります。

お申し込みいただいた方には、自動返信でZoomのリンク、課題文のダウンロード、課題提出アップロード用リンクをお送りします。受講後には、録画ビデオを閲覧できるリンクをお送りします。復習にお役立てください。

過去に一度でもセミナーを受講なさった方は、アカウント登録(=サイト会員)できます。右上「ログイン」をクリックして「登録」してからお申込ください。既に登録している方は、ログイン後にお申込ください。受講履歴がつきます。

課題提出期限:2026年7月3日(金)

内容
  • プレゼン資料の黄金律「Less is more」と「KISS」の原則
  • スライド英語特有の「ヘッドラインスタイル」と記号の処理ルール
  • 視認性を高めるフォント設定と「6 x 6ルール」
  • 「パラレリズム」を用いた効果的な箇条書きの作成法
  • 聴衆を惹きつける「HOOK」の作り方と「3の法則」
  • スピーチ原稿とスライドの関係性 (New!)

前回(3/21)受講者には、割引クーポンを別途メール済みです。申込時にお使いください。


下記は、受講生の方から寄せられた、My Storyです。

♣My Story 水野頼子さん 


私には翻訳に関して「目から鱗が落ちた」経験が2度あります。
1度目は小学校卒業後の春休み。卒業祝いにもらった英語の辞書。中学校の英語の授業で使ってねと言われたものの、勉強道具などもらっても嬉しくはなく…
当時、音楽が好きな両親が買い集めたレコード(年がばれる)の中に映画「メアリー・ポピンズ」のサントラ盤がありました。心躍る音楽に夢中にはなったものの、いかんせん歌詞は英語。歌詞カードを見ても歌の意味は全くわかりません。
そこでふと「あの辞書があれば何かわかるのかも」と、最初の曲「The Perfect Nanny」の歌詞に出てくる単語を辞書で調べてみたのです。12歳の私がどこまで意味を理解できたのかは謎ですが、「この辞書を使うと外国のことがわかるんだ!」とワクワクしたことは今でもはっきり覚えています。「翻訳」のまねごとをして、ただの知らない国の文字の羅列が物語に変わった、目から鱗の瞬間でした。
それからウン十年が過ぎ、現在の在住国にある企業で日々翻訳をしていますが、英日が主体で、日英は月に1度、日本人CEOから現地社員への訓示の翻訳のみ。自分で勉強はするものの実践の場がなく、技術の上達はおろか維持すらできないのではと不安でした。そんな時に受講したのが遠田先生の全6回の講座です。初回の講座は人生2度目の目から鱗の衝撃でした。それまでの自分の翻訳は「日本語が透けて見える英語」だったと痛感し、恥ずかしくなりました。でも遠田先生は打ち砕かれた自信を修復するための知識を2時間の授業の中で惜しみなく授けて下さり、それまでの何をどう努力すればいいのかわからない目の前のモヤモヤが消えていきました。2回目の講座の事前課題に取り組んだ時にはなんだか翻訳がやりやすくなった気すらしました。
学生時代は宿題なんて忌まわしいものでしかありませんでしたが、遠田先生が用意される課題にはワクワクしながら取組み、翌月の講座を首を長くして待ちわびました。時差の関係で講座が終わるのは深夜近かったのですが、それでも毎回「延長すればいいのに」と思ったものです。
メアリー・ポピンズの音楽に出会っていなければ、翻訳という仕事に興味を持っていなかっただろうし、遠田先生にお会いできていなかったら、自分の翻訳の未熟さに気づかぬまま危うい仕事をしていたかもしれません。この仕事に導いてくれたメアリー・ポピンズと上達の指針を下さった遠田先生には感謝してもしきれないのです。
私には翻訳に関して「目から鱗が落ちた」経験が2度あります。
1度目は小学校卒業後の春休み。卒業祝いにもらった英語の辞書。中学校の英語の授業で使ってねと言われたものの、勉強道具などもらっても嬉しくはなく…
当時、音楽が好きな両親が買い集めたレコード(年がばれる)の中に映画「メアリー・ポピンズ」のサントラ盤がありました。心躍る音楽に夢中にはなったものの、いかんせん歌詞は英語。歌詞カードを見ても歌の意味は全くわかりません。
そこでふと「あの辞書があれば何かわかるのかも」と、最初の曲「The Perfect Nanny」の歌詞に出てくる単語を辞書で調べてみたのです。12歳の私がどこまで意味を理解できたのかは謎ですが、「この辞書を使うと外国のことがわかるんだ!」とワクワクしたことは今でもはっきり覚えています。「翻訳」のまねごとをして、ただの知らない国の文字の羅列が物語に変わった、目から鱗の瞬間でした。
それからウン十年が過ぎ、現在の在住国にある企業で日々翻訳をしていますが、英日が主体で、日英は月に1度、日本人CEOから現地社員への訓示の翻訳のみ。自分で勉強はするものの実践の場がなく、技術の上達はおろか維持すらできないのではと不安でした。そんな時に受講したのが遠田先生の全6回の講座です。初回の講座は人生2度目の目から鱗の衝撃でした。それまでの自分の翻訳は「日本語が透けて見える英語」だったと痛感し、恥ずかしくなりました。でも遠田先生は打ち砕かれた自信を修復するための知識を2時間の授業の中で惜しみなく授けて下さり、それまでの何をどう努力すればいいのかわからない目の前のモヤモヤが消えていきました。2回目の講座の事前課題に取り組んだ時にはなんだか翻訳がやりやすくなった気すらしました。
学生時代は宿題なんて忌まわしいものでしかありませんでしたが、遠田先生が用意される課題にはワクワクしながら取組み、翌月の講座を首を長くして待ちわびました。時差の関係で講座が終わるのは深夜近かったのですが、それでも毎回「延長すればいいのに」と思ったものです。
メアリー・ポピンズの音楽に出会っていなければ、翻訳という仕事に興味を持っていなかっただろうし、遠田先生にお会いできていなかったら、自分の翻訳の未熟さに気づかぬまま危うい仕事をしていたかもしれません。この仕事に導いてくれたメアリー・ポピンズと上達の指針を下さった遠田先生には感謝してもしきれないのです。


この記事に関する問合せはendaenglishlab@gmail.comまで

♣運営者より


🍀 Group機能の解説動画を作成しました
前号で Group(フォーラム)機能 の追加をお知らせしましたが、まだ使ったことがない方のために、このたび解説動画を作成しました。YouTube にアップロードしていますので、ぜひご覧ください。Group に投稿できるのはサイト会員登録を済ませた方のみです(セミナー受講が必要です)。登録は簡単ですが、その手順も動画にまとめましたので参考になさってください。詳しくは About Us のページをご覧ください。
投稿の閲覧はどなたでも可能です。ぜひ、ディープな(笑)チャットのやりとりをのぞいてみてください。

🍀 Claude Cowork デスクトップ版のミニ講座をPowerPoint翻訳セミナーに追加します
上でもお伝えしたとおり、PowerPoint 翻訳セミナーの交流会の時間を使って、Claude Cowork デスクトップ版をご紹介します。ブラウザー版の Claude や ChatGPT をお使いの方は多いと思いますが、デスクトップ版はローカルファイルを直接操作できるため、業務効率をさらに高められます。翻訳に携わっていない方にも役立つ内容をお届けする予定です。どうぞお楽しみに!

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それでは、また次回の配信でお会いしましょう!

6件のコメント


kazukoenda
kazukoenda
7月18日

Aの熊(bear)の言い換えとしてtheを付ければbeast, (wild) animalなど使えますね。私はthe creatureとしました。hyponymとしてはanimalよりもずっと上位の階層の言葉です。今までの経験でいうと、似たシチュエーションで使われているのを見たことが多いです。 Bの「逃げる」については、fledやgot awayはgoodです。私はveered offとしました。なぜかというと、森のなかで熊に出会って ran and ran for all I was worth したのに追いつかれそうになったので、急に方向を海の方に変えて相手を出し抜こうとしたから。この物語では、この後、海に飛び込んで助かるという展開です。記事で紹介した部分だけでは、全体の場面が分からないのですが、文脈に沿って「逃げる」を「急に方向を変え(逃げる)」としたわけです。こんな風に言葉選びを考えるのは楽しいです。

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Ritz
7月06日

すみません、全体をもう一度よく読みなおしたところ、rushは前の部分で使われていました! (B)に入れるのは、rushよりもget away (got away) の方が良さそうです。

編集済み
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永野恭子
永野恭子
6月30日

私もbeast が真っ先に頭に浮かびました。Beauty and the beast をなぜか思い出して(笑)。fled は言葉としては知ってても使ったことないです。こういう時に使えばいいんですね!

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Ritz
6月30日

私がまず思いついたのは、

I knew I'd be killed and eaten by the wild animal.  I rushed toward the ocean.です。


その後で少し調べて、bearの言い換え語としてbeastやbruteなども考えましたが・・・

アイヌの人々にとって、熊はただの野蛮な動物ではなく特別な存在だと思うので、「野生動物」という中立的な表現の方が適切だと考えました。


「逃げる」の方は、rushで「一目散に向かう」という状態を表せると思ったのですが、get awayなど、危険から逃げるという意味が強い表現の方が良いのでしょうか?

ご意見お待ちしております!

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永野恭子
永野恭子
6月30日
返信先

アイヌにとっての意味まで考えるとはさすがです。brute、知りませんでした💦


「逃げる」の方は、私もrushed が最初に出てきました。でもRitz さんとは変えたいのて、他の案をあとで考えてみます。いろんな案を考えると、自分の凝り固まったvocabulary がほぐれていく気がして楽しいです☺

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未来
未来
6月30日

I knew I’d be killed and eaten by the beast.  I fled toward the ocean. としてみました。


bear の上位語 animal だと緊張感が感じられないため、追われている恐ろしさを感じられる beast を選びました。でも、beast は bear の上位語ではないですね・・・?

そう考えると、ここでは適当ではないような気がします。

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