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#10 続singular theyと動詞の話


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目次


♣ 続singular theyと動詞の話


3月下旬にSF映画Project Hail Maryが日本で公開され、原作を読み始めました。地球から12光年先・・・宇宙で独りぼっち・・・異星人と遭遇!この劇的シーンで主人公はなんと代名詞(pronoun)の選択に迷います。

No one ever talks about the really hard parts of first contact with intelligent alien life: pronouns. I’m going to go with “he” for now, because it just seems rude to call a thinking being “it.”
Project Hail Mary, Andy Weir


エイリアンの性別が不明なのでとりあえずheとしよう、itは失礼だろう、というわけです(singular theyでは親しみがわかないかな)。この作品は豊富な科学的描写が特徴ですが、世相を映すユーモアにも溢れていて笑えます。アメリカ社会では”Pronouns can be a sensitive topic”と言えるでしょう。ちなみに代名詞itに関して「性別が分からない赤ちゃんにitを使う」と習ったことありますか?現代では人をitと呼ぶのは感じ悪いのでsingular theyを使います。

もし赤ちゃんが泣いたらおしゃぶりを与えてください。

  If the baby cries, give them a pacifier.

さて前号Newsletter #9ではsingular theyについて解説しました。ただしsingular theyを控えたい文脈もあることを考え、記事の最後で theyを使わずに書き直す文を載せました。

違法駐車をすると、運転者は罰金を課せられることがあります。
If a driver parks illegally, they may receive a fine.

これに対してさまざまな英文が寄せられました。ありがとうございます。

 

代名詞でなく本名詞  
If a driver parks illegally, the driver may receive a fine.

受動態の利用        
If a driver parks illegally, a fine may be imposed.

構文・主語の変更
Illegal parkers may receive fines.

構文変更、無生物主語 
Illegal parking may incur a fine.

theyを避ける多様な書き直しの方法が紹介されました。みなさん、さすがです。主語選びでは、行為者(driver)と行為そのもの(illegal parking)のどちらにフォーカスすると良いかを考え、文脈に応じて選ぶとよいでしょう。私の書き直し例です。

Drivers may be fined for illegal parking.
 
これは単なる一例で、決してベスト訳ではありません。「fineは動詞にもなるよ」を示すのが主旨です。実はこの問題を出したとき、私はThe Lincoln Lawyer, Michael Connellyを読んでいる最中で(Netflixでドラマ化、大ファンです)次の文に出会いました。裁判官が主人公の弁護士に法廷侮辱罪で罰金を課す言葉です。

I’m fining you for contempt of court.

「罰金を課す」という日本語を見ると、ついつい「『罰金』はfine、『課す』の動詞は?」と考えませんか。英語の多くの名詞は動詞遣いできる。これを念頭に名詞に隠れた動詞を探すと、英文を引き締められることが多いです。この作品でもう1つ注目したのが次。バス(bus)も動詞になる!

 バスに乗せられて裁判所まで来た。

We got bused over here to the courts.


最後に、下記の2文を見てください。日常語でいかに言葉が節約されるか (economy of words) が感じられる動詞の使い方です。AとBの意味の違いはわかりますか?読んで頭に浮かぶHeの人物像もかなり異なります。みなさんのコメントをお待ちしています。 
A.    He was never carded in bars.
B. He was never carded on the pitch.



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下記は、受講生の方から寄せられた、My Storyです。

♣My Story(ともころりんさん)



<ベテラン!?でも実力なし>
私は日英翻訳者として、大手自動車メーカーの下請け企業の翻訳部門で、25年半働いておりました。ですが、実際翻訳をやっていた期間はそれほど長くないのです。

まず、翻訳の勉強をしないで入社した私は、基礎ができていなかったのですが、1年ほどでコーディネータの仕事を命じられました。そのうち、翻訳営業や管理の仕事も担当し、「自分で翻訳する」機会はあまり多くはありませんでした。
ですが、メーカーに出向していた私は、データベースで過去の資料を閲覧でき、外注先が納品した翻訳物をチェックしていたので、何となく人まねで翻訳ができていたのです。

気づけばベテランと言われるようになっていましたが、実力がないことは一番自分がわかっていることでした。
そんな時、翻訳者として再び「自分で翻訳する」ことと向き合うことになりました。「このままじゃまずい。この実力では翻訳をしているとは言えない。」と危機感を持ち、連絡を取らせていただいたのが、遠田和子先生だったのです。

<遠田先生との出会い>
遠田和子先生は、その当時、毎年出向先の自動車メーカーに講師としていらっしゃっていました。
その部署の同僚が、「本当にチャーミングな方で、しかも説明が的確で、とてもわかりやすい。」と言っていたのを思い出しました。
私も切羽詰まっていたのでしょう。遠田先生に直接メールをお送りして、「どこかで講座をされるのであれば、ぜひ参加させてください!」と直談判したのです(笑)
今考えるとすごい勇気でしたが、遠田先生も快諾してくださり、添削のご指導が始まりました。

<融通のきかない生徒>
私は、遠田先生が伝えたいと思っていらっしゃることの、その前の段階の文法や表現ですらわかっておりませんでした。
遠田先生の言葉が理解できず、自分の理屈で理解しようとし、的外れな質問もしました。
そんな面倒くさい生徒でしたが、遠田先生は、本当に根気強くご指導くださいました。感謝してもしきれないぐらいです。

その後も、遠田先生のセミナーにはなるべく参加しておりました。
そうしているうちに、遠田先生の言葉が少しずつ理解できるようになってきました。「わかってきた」実感を得られた時はとても嬉しかったです。

今は、英語という言語を学ぶ楽しさを感じております。皆様とも切磋琢磨しながら一緒に学んでいきたいです。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

ともころりん

♣運営者より


🍀PowerPoint翻訳セミナー講座を開催しました!
3月21日、東京・中野にて対面形式の「PowerPoint翻訳セミナー」を開催いたしました。

3時間にわたり遠田先生に熱弁を振るっていただき、参加者の皆様からの鋭い質問も相まって、非常に密度の濃い時間となりました。当日は3人1組での即興翻訳ワークなど、一般的な翻訳学習の枠を超えた「インタラクティブな学び」を導入。制限時間いっぱいまで熱心に議論を交わす皆様の姿を拝見し、運営者冥利に尽きる感無量のひとときでした。

セミナー後の懇親会では、翻訳ツールの最新事情や現場での悩みなど、対面だからこそ分かち合える深いお話を聞くことができました。改めて、直接顔を合わせることの大切さを実感しています。今後もこうしたリアルな交流の場を継続していく予定です。

🍀オンライン版PowerPoint翻訳セミナーを計画中
遠方の方々から「ぜひオンラインでも開催してほしい」という熱いリクエストを多数いただいております。
遠田先生からも前向きなご快諾をいただきましたので、現在オンライン版の実施に向けて準備を進めています。詳細は後日改めて発表いたしますので、楽しみにお待ちください!

🍀 【特別付録】セミナー復習用音声ファイル(19分)
今回、「おまけ」として、当日のセミナー資料をもとに私が個人的に作成した復習用音声ファイルを公開いたします。遠田先生からも掲載の許可をいただきました。

この音声はAIを活用して生成したもので、当日の録音ではありません。そのため、内容の正確性について保証できるものではありませんが、セミナー内容の要点や全体像を効率よく把握していただける構成になっています。


Audio file

復習用音声ファイル(19分)-ダウンロード可能。 



セミナーに参加された方は復習として、参加できなかった方は学習のエッセンスを掴むガイドとして、ぜひご活用ください。オンライン版への参加を検討している方の参考にもなれば幸いです。お聞きになった感想やご意見などをコメントをいただけると、次回の運営の励みになります。

🌸もし今回の内容が役に立ったと感じたら、周りの英語学習仲間やSNSでシェアしていただけると、執筆の大きな励みになります!まだ登録されていないお知り合いの方がいれば、ぜひ下のフッターから「ニュースレター登録」を勧めてみてくださいね。

それでは、また次回の配信でお会いしましょう!

5件のコメント


kazukoenda
4月02日

私の書き直し文について、以下の質問をもらいました。

「Drivers may be fined for illegal parking. は主語がA driverでも問題ないでしょうか。元の英文では単数でも違和感がない気がするのに、書き直しの文だとやはりDriversと複数の方がいい気がしました。でも、どちらでも問題ないという解釈でよろしいでしょうか。」


これは総称表現に関わる内容です。


まず、英語の総称表現の基本は【無冠詞複数】です。そもそも総称とは不特定多数の人・モノを指すので複数形がしっくりくるわけです。書き直し文で「運転者」は不特定多数を指す総称なので【無冠詞複数】のdriversが最も自然です。


ではなぜ下記の文ではa driver なのか?これはa driver (単数)- a fine(単数)として数を呼応させるためです。

If a driver parks illegally, they may receive a fine.


driversにしても良いですが、drivers(複数)+a fine(単数)になり、数が一致しないという問題がでます


If drivers park illegally, they may receive a fine.


「複数の運転者だからfinesにすべき?」という迷いが生じます。eachを足せば、「一人一人が罰金を受ける」を明確にできます。


If drivers park illegally, they may each receive a fine.


というわけで、aで何かを総称するのは、「数の対応をはっきりさせたいとき」です。

もう一つの用法は何かを「定義するとき」です。これはa+countable nounを主語にする構文です。

A driver is someone who drives a car.


【a+単数名詞】の総称は、このように主語として定義文を作る、数の呼応を明確にしたいときに使います。


『フローチャートでわかる英語の冠詞』をお持ちの方は、第4章 数えられる名詞の総称表現を参照してください。詳しく解説しています。

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松本 知子
4月02日
返信先

「a+単数名詞」の総称表現は、使ってよい、とざっくり覚えていて、無冠詞複数との違いの理解ができていませんでした。今回数の呼応についても改めて説明を伺えて、とても腑に落ちました。(ご著書にも書いていただいていたのにすみません!)「複数の運転者だからfinesにすべき?」も、まさに疑問に思っていたことでした。本当にありがとうございます!

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kazukoenda
4月02日

A,Bとも正解です!それぞれcardはA. 運転免許証などの身分証明カード、B. サッカーのイエロー・レッドカードを意味し、それが動詞として使われています。Aで浮かぶ人物像は、「実年齢より年上にみられる男性」でBは「サッカー選手」でしょう。これは口語的な使い方ですが、日常会話でいかにeconomy of wordsが求められるかが分かります。日本語で「タイパ」と言うのと似ているかもしれません。

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天翔る龍
天翔る龍
4月02日
返信先

ありがとうございます。今回のお題を通じ、失礼ながら半ば積ん読状態だったご高著『日英翻訳のプロが使う ラクラク!省エネ英単語』を思い出しました。このうち、今回のお題との関連が深いのは第9章ですね。ここで取り上げられている「file」の用法も、今回拝読しなおして初めて知りました...😓

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天翔る龍
天翔る龍
3月30日

A. He was never carded in bars.

彼は酒場で身分証明書の提示を求められたことが全くなかった。


B. He was never carded on the pitch.

彼は試合で警告/退場処分を受けたことが全くなかった。


どちらの用例も、正直初めて知りました。一読し、Bの意味は何となく分かりましたが、Aはクレジットカード云々? と頓珍漢に考えてしまい...😅

編集済み
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