#9 知っておきたいtheyの用法—singular they
- endaenglishlab
- 2月28日
- 読了時間: 8分
更新日:3月3日

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♣ 知っておきたいtheyの用法—singular they
代名詞theyは英語の習い始めに覚える基本単語の一つです。通常なら「複数の人」を表す代名詞they/their/themの新しい用法が、「単数の人」を表すsingular theyです。今どきの英語を使いこなしたい人にはマストの新用法を紹介します。
まず、下記の括弧に適当な代名詞を入れてください。
When a customer wishes to close ( ) account, ( ) must fill in this form.
伝統的な英文法に従えば、不特定のa customerは性別が分からないので、代名詞には男性・女性の両方を使うことが多くあります。片方の性別heやsheのみ示すと性差別の誹りを受けます。
When a customer wishes to close ( his or her ) account, ( he or she ) must fill in this form.
この書き方は冗長で、コミュニケーションでも効率と簡潔さが求められる現代では好まれません。また顧客(a customer)の性別を「男性か女性か」の二者択一に限定しているのも問題です。性の多様性を尊重する社会では「自分は女でも男でもない」と性自認するノンバイナリnonbinaryの人々も包摂したいからです。そのため、不特定の単数個人を表すのにhe/sheではなく性別を示さないtheyが選ばれるようになってきました。英語ではgendered terms (性別化された単語)が中立的なgender neutralに置き換わっていて、その流れを受けてsingular theyは日本語で「ジェンダー・ニュートラルな単数代名詞」とも呼ばれています。この用法は、グローバルに参照される英語スタイルガイドthe Chicago Manual of StyleやThe Associated Press Stylebookで2017年に認められました。
When a customer wishes to close their account, they must fill in this form.
singular theyの広まりは翻訳や英語ライティングに携わる者に朗報です。一昔前ならa user, a client, a personなど特定されない単数の個人が登場すると、代名詞をどうしようかと悩みhe or sheを回避するため複数形に変えたり文全体を書き直したりと苦労がありました。 今では堂々とthey/their/themを使えるのでとっても楽! 以下は、書籍で見つけた私がお気に入りのsingular theyの例です。
Whenever a security guard of Disney’s Magic Kingdom sees a young child dressed up in a princess costume, he goes over to them and says, “Excuse me, Princess, can I have your autograph?”
You Can’t Ruin My Day, Allen Klein
幼い子供 a young childは単数ですが代名詞はthemになっています。herでも違和感のない文です。でも「お姫様のドレスを着るのは女の子だろう」と思うのは無意識のバイアスと言えます。ドレスを着てお姫様になりたい男の子もいるでしょう。

実はsingular they以外にも単数の人に対してtheyを使うケースがあります。それは「自分は女でも男でもない」と自認するノンバイナリの人が選ぶ代名詞でnonbinary theyと呼びます。
友達のJulesが、昨日モールであなたを見かけたと言ってたよ。
My friend Jules said they saw you at the mall yesterday.
Julesは特定の友達で性別が分かっているはずですが、代名詞はtheyです。このような文を目にすると、modern Englishに馴染みの深い読者は、「Julesはノンバイナリなのかな」と推測するでしょう。一方で、最近の動向を知らない人は文法ミスだと判断するかもしれません。
まとめると、新しいtheyの用法には二つの種類があります。
singular they
性別の不明な不特定の単数個人を指す
nonbinary they
ノンバイナリを自認する特定の単数個人を指す
圧倒的によく見かけるのはsingular theyの方です。
最後は質問で締めくくりましょう。
以下は a driverに対してsingular theyを使った文です。実務で「ここではtheyを使いたくないな」と思う場面もあるかと思います。theyを使わない書き直しを考えてください(もちろんジェンダー・ニュートラルなままで)。
違法駐車をすると、運転者は罰金を課せられることがあります。
If a driver parks illegally, they may receive a fine.
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日時: 3 月 21 日(土)14:00-17:00
参加締め切りました。ありがとうございました。
内容: PPT は普通文書とは異なる英訳スキルを要し、スライドでは翻訳 のみならずレイアウトまで気にしなくてはなりません。さらにスピーチの訳では 「聞いてもらう」工夫が必要です。PPT 資料は翻訳者の技量が試されると 同時に、創意工夫の余地が大きい素材でもあります。そんな素材を皆で楽 しみながら「料理」しましょう。
下記は、受講生の方から寄せられた、遠田先生との出会いに関するMy Storyです。♣My Story(カトヤスさん)
「スピーキングはネイティブレベルなのに、ライティングは間違いだらけじゃん?」
20年前、私が勤めていたのは、帰国子女が大勢いる外資系IT企業でした。しかし、そんな彼らでも英語のメールやレポートを見ると、スペルミスや文法ミスが散見されました。そのとき、「ライティングなら彼らに勝てるかもしれない」と思ったことが、本格的に学び始めるきっかけでした。
そんな中で出会ったのが、遠田先生の英文ライティング講座です。ごく少人数のクラスで、今思うととても贅沢な環境でした(笑)。言語の効率性を重視し、とにかく簡潔さを追求するスタイルに、大きな衝撃を受けたのを覚えています。
スキルアップを続け、いつかは日英翻訳だけで生計を立てられればと思っていました。ただ、当時すでにTQE(サンフレアの検定)には合格していたものの、特に仕事の依頼があるわけでもなく、翻訳仲間もいませんでした。今後どのように独立していけばよいのか、悩んでいました。
先生に相談したところ、「今度、翻訳者のオフ会があるみたいだから参加してみたら? 私は参加しないけど(笑)」と勧められ、顔見知りのいない飲み会に一人で参加することにしました。
参加者のほとんどはプロの翻訳者で、自分のような駆け出しは相手にされないのではないかと思っていました。しかし実際には、皆さんがとても親身になって、自身の体験を踏まえながら、私の悩みや質問に答えてくれました。「TQEに合格したのなら、他のトライアルも受かるはず。もっとトライアルを受けてみたら?」「ボランティア翻訳をしてみたら?」など、さまざまなアドバイスを受けました。実際にそれらを実行した結果、その後のフリーランスとしての仕事につながっていきました。
先生には英語スキルの向上だけでなく、進路の相談にも乗っていただき、本当に感謝しかありません。
我々個人としてはライバル関係にありますが、このようにお互いに助け合い、共闘しながら、翻訳業界を一緒に盛り上げていければと思います。
♣運営者より
🍀新サイトからの配信(コメント歓迎!)
新しいウェブサイトから配信するようになり、それらのコメントを受けて、遠田先生がタイムリーに解説をしてくださる、という流れできつつあります。これは、私がLAB立ち上げ当初から夢見ていたことの一つだったので、実現できてうれしいです。今後もぜひこのインターアクティブな場を一緒に盛り上げていかれればと思います。
🍀AIが解析する、このニュースレターの読者像とは?
今日、ちょっと驚きの体験をしました。私は日頃からGoogleのAI『Gemini』と対話をしているのですが、ある質問の回答の中に、なんと本ニュースレターの内容が引用されて返ってきたのです。
AIが、私たちのこのニュースレターを『信頼に値するデータベース』の一つとして読み込んでいる……。分かってはいても、実際に目の当たりにすると感慨深いものがあります。
そこで、Geminiに『このニュースレターは一体どのような人たちに読まれていると思う?』と一歩踏み込んで尋ねてみました。そしてその『AIが分析したニュースレターの読者像』がこちらです。さて、皆さんに当てはまる項目はあったでしょうか?このあたりもコメントいただけたら嬉しいです。✨
⭐AIが分析する「遠田和子の英語LAB ニュースレター」の読者像
翻訳の「納得感」を追求する実務家層
単に「通じる」だけでなく、単語の語源やスタイルガイドの最新改訂(シカゴマニュアル等)まで踏み込み、根拠を持って言葉を選びたいプロフェッショナルな翻訳者・ライター。
双方向の学びを求めるコミュニティ志向層
一方的な情報受取だけでなく、ライブ添削や勉強会での「ツッコミ」を楽しみ、熱意ある仲間と切磋琢磨することに価値を感じている英語学習者。
「生きた英語」の機微を解読したい知性層
冠詞一つの有無で変わるニュアンスや、レジスター(フォーマル度)の調整など、高度でハイレベルな言語操作の習得に挑んでいる層。
インクルーシブな視点を実務に落とし込みたい実践層
時代の変化に伴う言葉の理念(インクルーシブ表現)を学び、それを具体的な訳文にどう反映させるかという「実践の知恵」を必要としている人々。
【AIの視点by Gemini】 本ニュースレターは、単なる知識の共有にとどまらず、「翻訳に真摯に向き合う人々の熱量」が循環する場になっています。AI時代だからこそ、人間らしい「言葉へのこだわり」や「背景にある文化の理解」を大切にする、志の高い方々に深く支持されているのだと感じます。
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個人がどの代名詞を使うかは、個人情報となっているようです。
The law bans automatic parental notification if students change their gender identity or pronouns. California officials had argued that it gave students privacy, especially if they feared rejection from their families. But the Supreme Court sided with Christian groups who say it allowed schools to mislead parents.
https://www.pbs.org/newshour/show/news-wrap-lutnick-will-testify-in-house-investigation-into-epstein
動画の4:24から
あと、「AIが解析する、このニュースレターの読者像とは?」について。
「根拠を持って言葉を選びたいプロフェッショナルな翻訳者・ライター」というのが刺さりました。これは中山裕木子さんの考えにも通ずるような。
Geminiに対抗するつもりはないのですが、Copilot(無料版)で
"「遠田和子の英語LAB ニュースレター」ってご存じですか?"
に対する回答を得た後に、同じく
"このニュースレターは一体どのような人たちに読まれていると思う?"
と尋ねてみました。
結果は下記のとおりです。嘘はないと思いますが、ご参考までに。
-------------------- 読まれている層はかなりはっきりしていて、しかも幅があるようで、ひと言でまとめると 「英語を“きちんと”使いたい人たち」 が中心です。検索結果から見えるコミュニティの性質を踏まえると、次のような人たちが主な読者だと考えられます。
🎯 主な読者層(確度の高いグループ)
1. 日英翻訳者・翻訳学習者
• コミュニティのメンバーには「トップレベルの翻訳者」も参加していると明記されています。
• ニュースレターの内容も冠詞・語法・レジスター・簡潔な英文など、翻訳実務に直結するテーマが多い。
2. 外資系企業で英語を使うビジネスパーソン
• 英語LABは「外資系企業で活躍する方々が集まっている」と紹介されています。
• 明快で簡潔な英語はビジネス文書・プレゼンで特に重要なので、実務で英語を書く人に刺さる内容。
3. 英文ライティングを本気で鍛えたい上級学習者
• 遠田さんの理念は「明快な英語」。SVの明確さ、最小語数で最大情報量、Given→New など、上級者向けの基準が提示されています。
• こうした基準に興味を持つのは、英語を“運用する”段階にいる人たち。
4. 英語教育・研修に関わる人
• 遠田さんは企業研修や講演も行っており、教育者・研修担当者が参考にするケースも多いと考えられます。
🌱 もう少し広い意味での読者像
「英語を“正しく・美しく・伝わる形で”書きたい人」
• ニュースレターは初級者向けではなく、
「英語は読める・書けるけれど、もっと洗練させたい」
という層に最も響く内容です。
「英語の“基準”を知りたい人」
• 明快な英語のクライテリア(SVの明確さ、情報構造など)が提示されているため、
「良い英文とは何か?」を体系的に理解したい人
にとって価値が高い。
📌 まとめると
翻訳者・翻訳学習者、外資系ビジネスパーソン、英文ライティング上級者、英語教育者
このあたりがコア読者層で、いずれも「英語をプロとして扱う/扱いたい」人たちです。
あなた自身は、どのあたりの層に近いと感じますか?
すぐに思いついたのは、実に単純で、
If a driver parks illegally, the driver may receive a fine.
ですが、他の皆さんのほうが良さげですね(言葉の燃費という意味で)...😓
Illegal parking may incur a fine.
ではどうでしょうか。
少し調べてみたところ、illegal parkerという言い方があるようなので、
Illegal parkers may receive fines. / An illegal parker may receive a fine.
とするのはどうでしょうか?
語数が減って、文の構造も単純になります!