#7 Register と etymology(語源)
- endaenglishlab
- 3 日前
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目次
♣ はじめに
遠田和子
2025 年 7 月に英語 LAB が発足して半年、今年最後の Newsletter です。読んでくださっている皆さん、ありがとうございます!
Newsletter No. 4 で文のフォーマル度を示す単語レジスターを紹介し、 Ritz さんから次のコメントをいただきました。
「フォーマル度について考えてみると・・・日本語での会話や文章作成でも、 実は普段から、誰でもかなり注意して言葉を選んでいるのではないでしょうか。 ほんのわずかな言葉の選択によって、フォーマル度は大きく変わりますし、場合 によっては相手に悪印象を与えてしまうこともあります。これと同じレベルの フォーマル度の調整を英訳時に行うというのは、日本語話者にとってはとてもハ イレベルな作業だと思います。」
というわけで、今号ではレジスターについて考えます。
♣ Topic Register と etymology(語源)
register は、Oxford Advanced Learner’s Dictionary で次のように 定義されています。
(linguistics) the level and style of a piece of writing or speech, that is usually appropriate to the situation that it is used in
簡単にいえば、場面・相手・目的に応じたスタイルとフォーマル度を指します。
次の 2 文を見てください。
Let’s start the ceremony. さあ、式を始めよう。
Let us commence the ceremony. これより式典を開会致します.
和訳でも歴然なレジスターの違いは、短縮形の(不)使用と語の選択によ ります。短縮形に関して、正式な文書では isn’t, doesn’t, can’t などを使 わない。これは皆さんよくご存知でしょう。そこで以下では語の選択を取上げ、 レジスターに深く関わる語源(etymology)に注目します
英語は外来語を大量に取り入れてきた歴史を持つため、語彙が豊富でニュアンスが微妙に異なる 同義・類義語が数多くあります。例文の start と commence を比べると、commence のほうが 堅苦しい感じです。Longman Dictionary of Contemporary English Online で start を 引くと、の注意書きがあります。
In everyday English, people usually say start rather than commence: The concert was just about to start.
レジスターに影響を与えているのは語源です。start はアングロ・サクソン語由来の庶民の言葉。一 方、commence は発音からも分かるようにフランス語由来でフォーマルな響きです。ラテン語、ギリ シャ語由来の単語も同様です。類義語の組合せをいくつか見てみましょう。go down – descend, carry out – implement, end – terminate では、後の単語がラテン語由来で、 外来語は総じて音節が多く高尚なイメージを醸すのがよくわかります。
次はブログ記事からの一文。
Eating too much junk food causes brain fog.
ジャンクフードの食べ過ぎは頭をぼんやりさせます。
同じ内容を論文用に書き直すと。
Consuming an excessive amount of energy-dense, nutrient-poor foods causes hazy cognition.
高エネルギー密度・低栄養食品を過剰摂取すると認知力低下の原因となります。
eat- consume, too much - excessive, brain - cognition のフォーマル度の違いは語源 で説明できます。「brain fog = 頭がぼんやり」と「hazy cognition = 認知力低下」を比べると、 和語と漢語の違いもわかります。日本語のレジスターもある意味「語源」に左右されると解釈できま す。
英訳では言い換えが大切です。ただ辞書で同義語を調べても「どれを使えばいいの?」と迷うことが あるでしょう。見慣れない単語を使うときには、語源を調べましょう(お勧めは Merriam-Webster の Etymology)。由来を知ると、一つ一つの語に対する感受性が磨かれ、適切な語で文のトーン を自在に変えられるようになります。
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♣ セミナー他のお知らせ
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♣ 運営者より
早いもので、遠田 LAB を立ち上げて約 7 ヶ月。この間、セミナーを 2 回、 ニュースレターを 7 回、発行することができました。来年 3 月には PowerPoint 翻訳講座の開講も決まり、順調に活動の幅を広げることが できています。これも皆様のサポートのおかげです。心よりお礼申し上げま す。
さて、来年の抱負ですが、まず遠田 LAB のホームページをリニューアルする 予定です。皆さんにより多くの情報や特典をご提供できるよう準備中ですの で、ご期待ください。
♣ 読者 Story
前回に引き続き、今回も読者の素敵な Story が届きましたので、この場で シェアさせていただきます。今回は未来さんです。未来さんは、今年 7 月の Kick-off 対面講座に参加してくださった方で、遠田先生とは初対面でし た。未来さんの Story は、対面のセミナーで先生や他の受講生さん達と触れ合うことの素晴らしさがお分かりいただける内容となっておりますので、ぜひお読みいただければと思います。
♣ 未来さんの Story
技術者の「難解」な日本語をわかりやすく英訳するのが楽しくて、今でも社内翻訳を続けています。 初めの頃、「字面通り訳さず意図をくみ取る」ことを重視して、内容を補足したり順番を入れ替えたり、時には省 略したりと、原文に忠実ではなくなることもありました。訳文には満足してもらえていたものの、社内に翻訳を客観 的に評価できる人がいなかったため、自分の訳が意訳なのか、それとも翻訳として妥当なのかが判断できずに悩ん だ時期がありました。
そんな時、2016 年の翻訳祭で遠田先生の講演を聞き衝撃を受けました。
訳をするときに大事なことは、内容を理解する=「意味を訳す」こと。読者が正しく意図を 理解できるように 英訳している。
よく言われる、「翻訳するときには、何も足さない、引かない」は、英訳には当てはまらな い、 等価に変換さ れている以上、それは意訳ではない。
方向性は間違っていなかった! と確信し、この言葉に胸に翻訳を続けてきました。 いつか先生の授業を受けたいと思いながら機会がないまま、書籍などを頼りに勉強してきましたが、ネイティブでも 留学経験もない自分に限界を感じ、さらには機械翻訳や AI 翻訳の盛り上がりもあって意欲が落ちつつありまし た。ちょうどそんな時に X で「遠田の英訳 LAB」開催のお知らせを見つけたのです。即、申し込みました。 まさに運命のようなタイミングでの開催でした。
初回勉強会は感激の一日で、いてもたってもいられずその後すぐにオンライン講座を申し込みました。全 4 回の 対面講座は新たな気づきと感激の連続で、まだ道は遠いと感じながらも、自分なりの形で翻訳を続けていこうと 前向きになれました。また、翻訳が「面白い」と心から思えたことが何よりの喜びでした。 この勉強会に参加できたことを本当に嬉しく思います。これからの活動も楽しみにしています。
未来 (note🔗: note.com/merci39)
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