#2 英語の冠詞
- endaenglishlab
- 4 日前
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更新日:3 日前

目次
♣ はじめに
Newsletter の第2号をお届けします。英語や翻訳に関連する情報を発 信していく予定で、とりあえずしばらくは「英語の冠詞」がテーマです。 そして7月に開催予定の Kick-off 勉強会は定員に達しました。ありがとう ございます。参加者リストで、初めてお会いする方、(超)久しぶりの方、い つもお世話になっている方など多くのお名前を見てワクワクしています。
♣ Topic:英語の冠詞 No. 2
私は parliamentary debate (英国式即興英語ディベート)の訓練を10 年以上続けていた時期があります。あるとき英語ディベート仲間に次の 2 文を 示して「意味の違いは何?」と聞きました。
A. I ate fried chicken for lunch.
B. I ate a fried chicken for lunch.
なんと全員が「えっ?!よくわかんない」という反応。しみじみ、ディベートでは冠 詞など気にしないで英語を話しているのだなと思いました(確かに、いちいち気に していたら即興で議論などできません)。一方、英語ネイティブの友達は B を聞 いて爆笑したそうです。Bの a chicken は「丸一匹(羽も嘴もとさかも付いたま ま)の鳥」を指しますから、きっと丸ごと油で揚げられるニワトリの鮮烈なイメージ が浮かんだのでしょう。不定冠詞 a の有無で意味は激変。しかし、たいていの日 本人にはAも B も違いが感じられず、どちらも「フライドチキン」と読んでしまいま す。
こんなふうに英語の冠詞はとても厄介。
さて Newsletter 第一号で出した冠詞の問題の難易度はいかがでしたか。ち なみに、上記のディベート仲間で英語が fluent な一人に第一号の問題をみせ たら、「me には冠詞がつかないから、どっちも無冠詞?全然わかんない」と言わ れました。「a か the か無冠詞か」と悩むのは書き言葉を扱う翻訳者の宿命で す。というわけで次も冠詞の問題です。
括弧には何がはいりますか。
Sue: My sister will have a baby next month. Tom: Is ( ) baby ( ) she or ( ) he?
1. a
2. the
3. 無冠詞
そんなに難しくないですね。baby は Sue の姉妹の赤ちゃんであると特定される ので the です。she と he の前には a が付き、a she or a he は a girl or a boy の意味です。不定冠詞 a が付くことで、she と he は代名詞ではなく countable 名詞であることを示し、「女の子」「男の子」の意味になるわけです。 続く会話で、次の括弧には何が入るでしょう?
Sue: I don’t know yet, but I need to buy a gift for ( ).
赤ちゃんはまだ性別がわからないので him or her としましたか。または昔、「性 別のわからない赤ん坊の代名詞は it である」と習ったかもしれません。しかし現代 英語では them です。これはジェンダー・ニュートラルな代名詞として単数名詞を 受ける時に使う singular they の用法。性別の分からない赤ちゃんは、たとえ 一人でも複数形の代名詞 they/them/their で受けます。今の時代に it を使 うと「赤ん坊をモノ扱いしている」として嫌がられます。singular they については 今年2月に刊行した『インクルーシブな英語』に詳しく解説しています
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♣ セミナー他のお知らせ
遠田和子の英語 LAB Kick-off 勉強会 & 交流会
お陰様で定員一杯になりました!秋にはオンラインの会を開催する予定です。
「迷いをなくそう、英語の冠詞!」 日本翻訳連盟(JTF)主催
2025 年 7 月 3 日(木)14:00~16:00、申し込み締め切り 6 月 26 日(木)
「インクルーシブな英語」 日本テクニカルイングリッシュ協会(TEAJ)主催
2025 年 8 月 30 日(土)14:00~16:00
♣ 運営者より
前回の第一号(2025 年 6 月 9 日発行)はいかがでしたか?
遠田先生らしい絶妙な難易度の冠詞問題に、頭を悩まされた方も多かった のではないでしょうか。正直なところ、私も回答に思いのほか時間を要してしま い、日頃の不勉強ぶりを痛感しました…。
冠詞は、文法チェッカーに頼れないのが難しいところ。一文ごとに見れば誤りに 見えなくても、文脈や作者の意図を汲まないと思わぬ意味のズレを招くことも あります。今回の例文では改めて、一つの冠詞が意味を大きく変える恐ろしさ を思い知らされました。
こうした冠詞の奥深さはじめ、多彩な英語の問題を遠田先生の視点で解説 していただけることが、この Newsletter 最大の魅力です。無料で英語の奥 深い世界に触れられる貴重な機会ですので、ご友人やご同僚にもぜひこの Newsletter をシェアしていただけると嬉しいです。また、よろしければこのフォ ームからの新規登録もお待ちしています。なお、第一号をまだお受け取りでな い方は、ここからアーカイブをご覧いだけます。
次号もまたきっと難問が出てくることと思います。どうぞお楽しみに!
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